下痢の治療ガイド

-イボ痔の新手術「PPH法」-

イボ痔の新手術「PPH法」

痔の7割を占める「イボ痔」

強い痛みや不快感がある痔は、3人に1人、一生に一度は症状が現れると言われるほど多いです。

痔には、肛門部分にイボができる「イボ痔」、肛門内側が切れる「切れ痔」、膿(うみ)がたまって穴が開く「痔ろう」があります。このうち約7割を占めるイボ痔が、新手術「PPH法」の対象になります。

従来の手術では、神経が過敏な肛門部分を切り取ったり、薬品で組織を破壊したりしていたことから、手術後の痛みが非常に強くなります。このため、治療を受けている人は決して多くありません。

これに対し、新しい「PPH法」は、肛門部分を切除しないため、痛みが少ないのが特長です。日帰りでの手術も可能です。


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新手術「PPH法」

この方法を開発したオーストリア・セントエリザベス病院大腸・肛門外科部長のアントニオ・ロンゴ博士によりますと、イボ痔は、肛門上部にある粘膜がゆるみ、ずり落ちて起こります。粘膜に血液が滞留したのがイボで、さらに悪化すると脱肛になります。ロンゴ博士は「ゆるんだ粘膜が下がらないようにすれば痔は治せる」と考えました。

この手術では、腰椎(ようつい)麻酔をかけ、まず肛門を拡張器で広げ、ゆるんだ粘膜を持ち上げます。これを、肛門より上の直腸の粘膜に縫いつけた上で、余った粘膜を特殊な器具で輪状に切り取ります。

PPH法は「自動縫合器による直腸粘膜切除術」といった意味なのです。

直腸粘膜には痛みを感じる神経がないため、痛みは従来の手術に比べ、十分の一程度といいます。イボは血液の滞留がなくなると、自然に解消されていきます。手術時間は30分以内で、外国では日帰り手術が普通ですが、日本では日帰りはまだ少なく、2、3日の入院が必要な医療機関が多いです。

「PPH法」の術後の経過

すでに1500人以上をこの方法で手術している、湘南鎌倉総合病院の渡部和巨(かずなお)外科部長は「手術可能な痔の9割に使うことができ、当院では7割以上の人が日帰り手術を受けています。手術翌日からの排便や入浴も問題ない」と言います。

高齢者でも体への負担が少なく、同病院で手術を受けた最高齢者は93歳といいます。仕事や日常生活への復帰も早くなります。

この方法で700人以上に手術した東葛辻仲病院が、患者さんに調査したところ、手術後1週間後に「痛みと出血がない」と答えた人は従来の方法では5割程度でしたが、「PPH法」では8割近かったです。

一方、広まって数年程度の治療法だけに、「長期成績を見ないと判断できない」と慎重な専門医もいます。再発してしまう場合も、ある程度あるからです。

「PPH法」は保険適用になっていません。湘甫鎌倉病院では病院側が器具の費用を負担していますが、施設によっては十数万から数十万円の患者負担が必要になり、費用はまちまちです。

痔の予防

痔の予防として以下のことに注意してください。

1.便秘や下痢に注意

2.尻や肛門を冷やさない

3.肛門をいつも清潔にする

4.ア一ルコールは控える

5.毎日人浴する

6.軽い運動をする

7.同じ姿勢を長時間とらない

8.排便時間を短くし、無理にいきまない


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関係医療機関

湘南鎌倉総合病院

東葛辻仲病院

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